成年後見促進計画

弁護士中林です。

個人の判断能力、財産管理能力が乏しくなった場合に、周囲の親族などの申立てにより、家庭裁判所が成年後見人が選任し、本人に代わって財産管理を行います。

現状の成年後見の運用は非常に問題が多く、何度か触れてきました。横領使い込みというのは論外ですが、成年後見人と親族のコミュニケーションがうまくいかない、必要なお金の支出や清算が滞る、不満があっても解任して交代させることができないという問題があります。

顔の見える専門家を後見人に、元気なうちに自分で契約して後見人をお願いする任意後見人が望ましいということも何度が触れてきました。

このような問題点を厚労省や最高裁も認識しており、最近、後見人の選任に専門家よりこれまで介護に関わってきた親族や第三者協力者を優先したり、親族との連絡、コミュニケーションに難のある後見人の解任を認める運用を通達したり、後見人報酬の算定に案件の難易度や貢献度を考慮する運用を始めることを発表しました。

2017年に国は、高齢化の進展の中、家族の介護支援が受けられないあるいは受けづらい独居高齢者が増加する現状をふまえて、成年後見促進計画を定めました。計画の一環としての動きがようやく出てきたことかと思います。

相談窓口の現状

しかし、上記の最高裁などの運用変更にもかかわらず、促進計画が「画餅に帰す」危うさを感じさせるニュースがありました。

「成年後見の相談窓口設置、5%弱」(2019.3.30 共同通信社)

https://www.47news.jp/news/3418594.html

「認知症や知的障害などで判断力が不十分な人を支援する成年後見制度で、利用者の相談窓口となり家庭裁判所など関係機関同士の調整役を担う「中核機関」を設置している市区町村が4.5%にとどまることが、厚生労働省の調査で分かった。

80%近くは設置時期を「未定」と回答し、多くの自治体が予算確保の困難さを理由に挙げた。」

4.5%というのは1741市区町村のうち79自治体とのことです。また時期未定というのは、「やろうとしていない」というのと同じですね。促進計画では目標時期は2021年とのことです。

弁護士会では横領事案の発生を受けて、成年後見業務に携わる弁護士に年間複数回の研修義務を課すようになりました。成年後見は法律の専門家でも間違いを起こしうる専門的な分野であり、本人に代わって財産管理にあたる高度のコンプライアンス意識の求められる分野です。あと1年ちょっとで十分な相談窓口が設置できるとは到底思えません。