弁護士中林です。

昨年から高齢者の身元保証等サポート業務に関わることが多く、その中で、認知症等の影響により、判断能力や財産管理能力が減退することへの不安の声を高齢者ご本人や介護施設、医療機関等担当者の方からお聞きします。

国において成年後見促進法に基づく施策や通達を進めている流れもあり、成年後見に対するニーズと問い合わせが増えるであろうことを実感しています。

私は最近成年後見に関するご相談、お問い合わせをいただいた際に、次の4つの視点から誰に頼めばいいのか、どのように進めればよいのか考えていただくよう、お答えしています。

1 専門家に依頼する

昨今市民後見人、法人後見人の促進を図る動きもあるようですが、そもそも成年後見業務は、被後見人の権利義務擁護を十分に図るべく、民法その他の法律に関する専門的知識、裁判所に対する定期的な報告書の作成能力、権利・財産擁護に対しての職業的倫 理観が高度に求められる業務です。

高齢者の増加に伴い、必要な数の成年後見人を確保するべく、専門知識無くとも成年後見業務を行い得るかのようなアナウンスは、数の確保さえ図ることができれば、業務の質は自己責任の問題として責任を全うしうる官僚的発想による間違った情報発信です。

成年後見業務の根本として法律専門家でなくては無し得ない業務であることが第一に考えなければならないことです。

2 自分自身が判断能力ある状態で選任する

成年後見人は本人になり替わり、権利擁護・財産管理に携わる者であるため、被後見人本人と面識があり、信頼を置ける人物であることは必須であるはずです。

現に本人と面識や信頼関係無く選任された法定後見人が業務不熱心であったり、被後見人親族とトラブルを引き起こしたり、ひどい場合には財産を横領する事案が問題となっています。

被後見人本人が判断能力を喪失した状態で就任する成年後見人を判断能力ある状態で選任しておく法技術が任意後見人です。

法定後見の場合、後見人候補者として名を連ねても、推定相続人の異議により選定不可となりますが、任意後見人であればこのような問題も回避できます。

 3 身寄りのない方は法定後見申立が著しく困難

法定後見人の選任申立は、原則として判断能力を無くした被後見人(予定者)の親族(や親族から依頼を受けた弁護士・司法書士)が行っているのが実情です。判断能力を無くした本人は申立ができません。

親族による申立の期待できない身寄りのない方の成年後見申立の方法として、市町村長による申立を可能とする規定も置かれていますが、運用実情は非常に困難で、年間件数もごくわずかです。

このように身寄りのない方の法定後見申立は事実上不可能となっていますので、任意後見契約によりあらかじめ後見人候補者を選定する必要があります。任意後見においては契約で定めた任意後見人候補者による申立が可能です。

 4 後見人のみでは介護、医療、死後事務サポートは困難

成年後見人は、権利擁護(本人に代わって契約をする、取消しうる契約を取り消す)業務、財産管理務を主眼とする立場であって、親族・家族が行うような介護、医療、そして死後事務については任務外とされています。

介護施設においては病院搬送時等の緊急対応や、医療機関においては手術時の医療同意を近親者に求めることが一般ですが、身寄りのない方の場合でも後見人がこれらの業務を行うことは基本的にありません。

身寄りない方の終末期サポートは後見人の選任ではかなり不十分であり、ここに私も携わっている高齢者サポートサービスに対するニーズが発生する背景となっています。

 5 相続に備えた対応を

高齢者の終末期サポートは相続の準備対応として、相続ワンストップ相談所においても成年後見のご相談を受けております。お悩みや気がかりなことがおありの方は、ぜひご相談ください。