相続ワンストップ相談所、弁護士中林です。

今回の通常国会において、森友問題や線香問題の追及が続いていますが、相続法改正無事審議可決となるでしょうか。

1 親族の特別寄与料 新設

今回の記事は、相続法改正内容「親族の特別寄与料」についてです。

改正案は、

①被相続人に対して、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより

②被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人,相続の放棄をした者,相続人の欠格事由に該当する者及び廃除された者を除く。以下「特別寄与者」という。)は,

③相続の開始後,相続人に対し,特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

となっています。

太字、下線を付した部分がポイントとなりますが、この規定を新たに盛り込もうとした趣旨は、相続人以外の親族、すなわち遺産分割を受けられない親族が、介護等に要した対価の償還を図ることにあります。

文言などが似ている規定で「寄与分」(民法904条の2)がありますが、「寄与分」は「相続人の中」で特別の寄与をした者に寄与に応じて「割増した」相続分を認める規定で、あくまで相続人が対象となる規定です。

 

2 特別の寄与

「特別の寄与」との文言は、「寄与分」の規定にも用いられています。寄与分における「特別の寄与」は、寄与の程度が相続人として通常期待される程度の貢献を超える高度なものとされていますが、要するに相続財産を得る以上、ある程度の貢献は当然という考えによるものです。実務上寄与分が認定されることはかなりハードルが高いとされています。

一方で、親族の特別寄与料の規定における「特別の寄与」は、寄与分とは異なり、「通常の寄与」との対比の観点から設けられた要件ではなく、貢献の程度が一定程度を超えることを要求する趣旨のものと考えられています。対象が相続人ではないことが大きな理由です。

それであれば、「寄与分」と「特別寄与料」において異なる文言とすることが、法律解釈の比重の大きい実務上は望ましいと思います。法制審議会においても文言を検討すべきとされているようです。

 

3 特別寄与料

「寄与に応じた額の金銭」の範囲こそ、「いくらもらえる」に直結する問題であって、実務上最も問題となることと思います。

法制審議会の資料からはあまり明確でなく、従来の実務の運用と同様に「証拠の裏付け」のある金銭支出のみ認められることとなると思います。

親族が持ち出して負担した療養看護費は対象となるでしょうが、労力や時間を割いた、介護のために仕事を休み収入が減ったという事情は、療養看護と明確な因果関係が無ければ金銭評価や認定が難しいとして、対象外となることが多いと思います。

 

4 実務上のインパクト

特別寄与料の新設がどれくらいインパクトを持つか、今後の審議を待つ部分もありますが、寄与料の範囲が証拠、資料上明確な範囲にとどまる限り、大きな差異は出てこないのではないかと思います。

介護に要する「労力と時間」が報われないものか、根強い要望は多くあるのでしょうが、相続法は相続権保護が第一なので、その枠組みで対応することには限界があると思います。

従来の親族関係のもとでは難しさはあるものの、少なくとも被相続人と介護者の間で、可能なら親族全体で、介護の労力に見合う対価を取り決めることは、法制度のはざまを埋める対応として求められることと思います。