税理士の森山と申します。
夏の疲れが出る頃ですが、お元気でお過ごしでしょうか。
この度は、ご質問の多い不動産を活用した相続税対策の仕組を簡潔にお伝えさせていただきます。

不動産を活用することで相続税対策となる主な理由は「評価方法」と「小規模宅地等の特例」にあります。
ここでは、容易にご理解いただくために詳細事項を割愛し簡略化して説明をさせていただきます。

〇家屋の評価方法について
家屋の相続税評価額は、財産評価基本通達によれば下記のように算出致します。

建物(自用家屋) ・・・ 固定資産税評価額 × 1.0

固定資産税評価額は、公示価格の70%程度となるものと見込まれておるため、いわゆる市場価格より低くなる傾向がございます。
(なお、貸家・貸地・貸家建付地の説明は割愛させていただきます。)

〇小規模宅地等の特例について
居住用等の土地を相続する場合において一定の要件を満たすときには、330㎡まで80%減額評価される制度があります。

(特例の概要)
【相続する宅地の用途】【取 得 者】【上限面積】【減額割合】
居住用、配偶者・同居親族・持ち家のない別居親族、330㎡、80%
事業用、親族、400㎡、80%
不動産貸付用、親族、200㎡、50%

この特例の適用により、通常の相続税評価額よりも低い価額で申告することが可能となります。

〇不動産活用による相続税対策例
この度は法定相続人2人(子)、土地330㎡(小規模宅地の特例適用可)を前提とさせていただき、現状の資産を下記とさせていただきます。

現 状)資産:土地1億円(評価額)のみ
・・・ 相続税総額770万円(課税価格の合計額1億円)

この場合において、下記案を実行すると相続税はどのように増減するのでしょうか。

対策案)金融機関から1億円を借入れ、居住用建物を建築した場合

資    産:
土地1億円(評価額)
家屋1億円(建築費)
借入金1億円(債務総額)

相続税評価額:
土地2,000万円(評価額(小規模宅地の特例適用後))
家屋7,000万円(評価額(固定資産税評価額×1.0))
借入金1億円(評価額(債務総額))
・・・ 相続税総額0円(課税価格の合計額△1,000万円)

今回のケースでは、対策案の実行により課税価格の合計額が1億1,000万円評価減されることにより、770万円の相続税節税となります。

実際には、貸地・貸家の検討、金融機関の金利、借入金残高、不動産建築の目的・維持管理(固定資産税・修繕費を含む)コスト、小規模宅地等の特例の適用要件、節税効果等を十分に検討する必要があります。
しかし、このように「評価」や「小規模宅地等の特例」の内容や仕組みを理解され、具体的な対策を十分に検討し構築されることで、有効な相続税対策が可能となります。
是非一度、相続税対策の仕組みの理解を踏まえ、対策案を検討をされてはいかがでしょうか。
なお上記はあくまで例であるため、実際の運用は税理士にご相談・ご確認をお願い致します。