マンションの管理費用
マンションの共用部分の管理費用は、区分所有法19条の「共用部分の負担」として、「持分」に応じて支払義務を負うことになります。
「持分」は「専有部分の床面積の割合」とされており(区分所有法14条)、管理費用総額を床面積の割合で按分することとなります。
区分所有法19条では、「規約」によって別の定めができることとなっており、戸数で均等に負担することを規約で定めれば、そのように負担することもできます。
法律の原則でもあり、戸数の広さによって負担額が調整される、原則型の床面積での按分とする例が多いようです。
管理費用の範囲
代表的な費用として管理費と修繕積立金があります。管理費は管理人件費、共用設備の維持・保守や管理組合の運営費用などの費用です。修繕積立金は共用部分の大規模修繕に備えた費用です。いずれも規約に定められることが一般です。
水道代については、マンション管理組合が、マンション全体のメーターを一括管理して、水道局に支払い、各戸に対しては小メーターで使用料を管理したり、最低使用料分は必ず請求するとして、各戸に負担を分配する、そして、このことを管理規約に定めているケースが多いようです。
マンション管理費用滞納と共有
マンション管理費用は、法律上の不可分債務として、マンションの使用者のみならず、実際に使用していない共有者に対しても、管理費用全額を請求することができます。この点が裁判例でも確立されています。
通常の請求は実際に専有部分に居住する使用者に請求しますが、滞納問題が発生すると、不可分債務とされていることが生きてきます。不可分債務ということは、共有者の誰に対しても管理費用全額を請求できるため、支払能力や意思のありそうな共有者に請求することも選択肢としてありうることとなります。
滞納管理費については、区分所有法8条によって特定承継人つまり中古となったマンションの購入者にも請求できることされています。
管理費滞納に対しては、居住者にとらわれず、様々な選択肢を検討する必要があります。
管理費用の滞納と相続
管理費用滞納と相続の問題は管理費用滞納が相続前に発生しているか、相続後に発生しているかによって場合を分けて考える必要があります。
相続前に管理費用の滞納が発生しており、相続によって相続人らに滞納管理費用の支払い義務が引き継がれる場合は、相続債務として、各相続人の相続分割合に応じて分割債務として相続されます。各相続人には分割された割合に応じてのみ請求することができます。
これは回収方法としては煩わしいことになりそうですが、実際に使用することになる相続人から回収することや売買を待って回収するなどの方法を検討するべきかと思います。
相続後に管理費用の対応が発生する場合は、相続人たちがマンションの「共有者」となりますので、滞納管理費用を各相続人に全額請求することができます。
相続が発生しているケースでは、相続人を調査し、相続人とも交渉することが有効になると思います。