相続ワンストップ相談所、相談員の税理士青山徹です。

 

今回は実際に僕が直面したある案件から改めてみなさんに注意したいただきたいことについて書きたいと思います。

 

「相続時精算課税贈与」を選択した翌年以降の「その後の贈与税申告」についてです。

 

「相続時精算課税贈与」についてご存知ない方もブログをご覧になられるかもしれませんので、まずは「相続時精算課税贈与」について簡単に説明したいと思います。

 

自分の事務所を開業する前の勤務時代に業界専門書籍の執筆のお手伝いもしたことありますが、文才が全くといっていいほどありませんので書き始める前に謝っておきます。

 

「相続時精算課税贈与」という制度を相談者・お客様に説明させていただくときはまずは「贈与した方の相続時に精算する贈与」制度ですと説明しています。

税法用語は、初めて聞かれる方にとっては英語が話せない方に英語で話しているのとなんら変わらないので、まず少しでも意味を理解いただけるように努めています。

 

「贈与した方の相続時に精算」ということは、あかの他人同士の贈与を前提していないことが想定されます、なぜなら、贈与をした方が亡くなったのか、亡くなっていないのかを確実に知るのは親族が一番早いからです、中でもより親族関係の近い、「親と子」「祖父母と孫」の間柄が一番早いのではないでしょうか、この贈与制度が選択できるのはこの

「親と子(養子含む)」、「祖父母と孫」のみです。

ただし、それぞれ年齢の制限があります、贈与する側は60歳以上、贈与を受ける側は

20歳以上、贈与の年の1月1日のその年齢になっている必要があります。

また、この「贈与した方の相続時に精算する贈与」制度を適用するには、一番初めにこの贈与制度を選択したい年の翌年2月1日から3月15日(贈与税の申告期限)までにこの贈与制度を選択する親族関係がわかる戸籍等を添付して、「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出しないと適用をうけることはできません。

 

この「贈与した方の相続時に精算する贈与」制度を選択した間柄においては、どんな財産でも「贈与」することが可能です、現預金、不動産、株式などなど。そして、その金額も贈与も上限なしで「贈与」が可能ですが、「贈与した方の相続時に精算」する制度ですので、「贈与した方」が亡くなった場合にはこの制度の選択は終了します。

また、金額も回数にも制限は無いとお伝えしましたが、この「贈与した方の相続時に精算する贈与」制度を初めて選択してからの「贈与財産」の価額合計が「2,500万円」を超えると、原則的としては超えた金額には一律「20%」の贈与税を納付する義務が生じます。

「2,500万円」を超えて納めることになった贈与税が『贈与した方の相続時に精算する贈与』となります。

 

「贈与税」を納税しなかったら「精算」しなくていいの? と思われるかもしれませんが、そういうわけではありません。

「贈与した方の相続時に精算する贈与」と説明したのであって『贈与した方の相続時に精算する贈与』と説明してきたわけではありません。

 

「贈与税」を納めない金額以下の「贈与した方の相続時に精算する贈与」しかされていない場合、つまり、2,500円以下の贈与の場合には、贈与した方の相続財産に、「贈与した方の相続時に精算する贈与」の額の累計額を加算して、贈与した方の相続税が課税されるか、課税されないかの判断をすることになります。

この判断に「贈与した方の相続時に精算する贈与」を含めることで、相続時に精算したと考えます。

 

{ 贈与した方の相続財産+「贈与した方の相続時に精算する贈与」の額の累計額 }

が「相続税の基礎控除」 を超えれば、贈与した方についての「相続税の申告書」の提出と相続税の納税義務が生じることになります。

この場合に実際に収める相続税は、贈与した方の相続時に精算する贈与に課せられた『贈与税』を差引いたあとの金額になりますので、贈与した方の相続時に「相続税」として「精算」したことになります。

 

 

また「相続税の基礎控除」の方が少なければ、相続税の申告書の提出は必要ないことになります。もちろん相続税の納税義務もありません。

この場合、確かに税額での「精算」はありませんが、相続時に精算して計算したと考えます。

 

相続税の納税が生じた場合の方が、「精算」の意味がわかりやすいかもしれませんね。

 

「相続時に精算する贈与」を選択した年の翌年以降の取り扱い

 

前半に説明したように、「贈与した方の相続時に精算する贈与」ですので、この制度においては、その「精算」する金額を正確に把握する必要があります。

その金額が正確に把握できないと、正確な相続税の計算を行うことができません。

 

つまり、贈与した方が亡くなるまで、「贈与した方の相続時に精算する贈与」がいくら行われたかを正確に把握する必要があります。

 

その把握を正確に行うには、我々税理士が、納税者の毎年の贈与状況を正確に把握する必要があるとは思うのですが、みなさんが税理士に依頼するとは限りません、逆に贈与税の申告書の作成を税務署で行う方のほうが多いのではないでしょうか。

相続税の申告書の依頼だけを税理士に依頼する方の方が圧倒的に世の中には多いと思います。

 

今回このブログで相続時精算課税の贈与について書こうと思ったきっかけもそのような方から、相続税の申告書の作成依頼があったからです。

 

守秘義務がありますので詳細なデータは公表できませんが分かり易い事例で説明します。

 

・相続人から平成28年中に亡くなった方の相続税の申告書作成依頼を受けたので、過去の贈与についての聞き取りを行いました、すると、平成20年に「相続時精算課税贈与」の制度を選択して贈与税の申告をしていたことがわかりました。

・相続時精算課税贈与を選択した年の翌年以降に、亡くなられた方から100万円の現金の贈与があったことが判明しました、しかし、100万円の贈与を受けた年の贈与税の申告書の提出をわすれてしまっていたそうです。

 

相続時精算課税贈与の適用要件のなかには、この制度を選択した翌年以降に「贈与した方の相続時に精算する贈与」を受けた場合には、贈与受けた財産の価額が少額であっても贈与税の申告書の提出が必要であることが規定されています。

そして、贈与税の申告書を期限内に提出しない場合には、前半でも説明した贈与税が課税されない金額である「2,500万円」の限度額が利用できないことも規定されています。

 

つまり、今回のケースの場合ですと、100万円の贈与を受けた翌年の平成21年の2月1日から3月15日までの贈与税の申告期限までに、「贈与した方の相続時に精算する贈与」を100万円受けましたという申告書を提出する必要があったということです。

 

今回の平成20年の贈与について申告がされていないことに気付いた私は、相続人に平成20年分の贈与税の申告書の期限後申告の提出と20万円の贈与税の納税を指導しました。

 

え? 2,500万円の限度額の範囲内であれば贈与税は課税されないのでは?

と思われた方はこれまでの私のわかりにくい説明をご理解いただいている方かもしれません。

 

確かに「相続時に精算する贈与」には2,500万円の限度額があるのですが、その限度額を使えるのは、期限内に贈与税の申告書を提出したときに限られているのです。

したがって、今回の事例のように平成20年の贈与税の申告を平成28年になってから提出する場合には、2,500万円の限度額は使えず、100万円に対して20%を乗じた税額を納付しなければならないのです。

しかも、本来の贈与税の申告期限から、実際に贈与税の申告書を提出した日(同日までに贈与税税済みの前提)までの期間にかかる「延滞税」と「無申告加算税」も課税されます。

 

もう一つ付け加えると、今回の事案では、相続税の申告書の提出及び納税が必要な案件でしたので、100万円に対する20万円は、相続税から精算することが出来ましたが、仮に相続税の申告の必要でない方の場合は、贈与税に期限後申告をするとなると2,500万円の限度額が使えず、20%の贈与税と、延滞税、無申告加算税のトリプル課税を受けることになります。

 

以前に「相続時に精算する贈与」すなわち「相続時精算課税贈与」を選択された方は、その贈与を受けた年以降の贈与については、いくら少額の贈与であっても贈与税の申告書の提出をわすれないようにしてください!!

本人に「贈与」認識がなくても、「贈与」に認定される取引は結構ありますので注意が必要です。

 

最後までこのブログ読んでいただきありがとうございました。

 

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