弁護士中林です。相続手続についてどのような対応が必要か、まとめてみます。

 

相続人の調査

戸籍書類を取り寄せて、相続人の顔ぶれと人数を確定させます。相続人の顔ぶれと人数を確定するというのは、遺産分割協議は相続人全員で、つまり他に相続人がいない状態で取り交わされなければ無効となるからです。

被相続人が高齢の場合、これまで会ったこともない腹違いの兄弟やその甥姪が相続人として、協議が必要となる相手に加わることは、結構多いです。

戦中・戦後まもなくの時代は、男女問わず配偶者が早死にすることが多く、再婚することも多かったので、片親違いの兄弟姉妹が存在し、相続のときに初めて知るということも多いです。

私の幼少期は友人の両親が離婚というのはほとんど無く、あったこともない兄弟姉妹の存在などということは、小説ドラマの世界の話のような気がしていました。しかしここのところ、離婚が多いので、数十年後に同じような問題が多くなるかもしれません。

 

遺産の調査(不動産)

不動産について、被相続人の住所地の自治体に「名寄せ帳」の問い合わせをします。

名寄帳には、ある人の名義で所有する不動産全てが記載されています。亡くなった方の不動産を確認するには最適の方法です。

ただし、自治体ごとにしか名寄せはできません。別の自治体に不動産が存在してそうであれば、別に名寄せをした方がいいです。

次に、不動産について田畑については、耕作地となっているか、貸している人がいないか、農業委員会で農業基本台帳を取得して確認します。

農協、または地元の組合が実際の耕作・管理を行っている場合もあります。

建物については、片づけの必要があれば、早目に片づけましょう。不用品処理業者、遺産整理業者などに依頼して進めることになります。

利用する当ての無い不動産は、管理コスト、固定資産税負担の点から、早期に売却処分することが望ましいです。

 

遺産の調査(預貯金その他)

被相続人の預貯金通帳が存在すれば望ましいのですが、全てが必要ではありません。正確には、預貯金取引があった銀行と支店が分かれば、預貯金の相続手続きを進めることができます。

預貯金の相続というのは、イコール解約を意味するといってよいと思います。金融機関によっては相続人名義の預貯金に切り替えることもできるようですが、預貯金は結局解約した後に、口座を作りたければ、簡単に作れるので、シンプルに解約だけ行えばいいと思います。

取引のあった支店に、死亡届を出し、預貯金の動きをストップするのですが、このとき、通帳などが無くて、把握できなかった口座が確認できることもあります。当初予定していた口座と同じように、解約してしまえばいいと思います。

相続人が複数いる場合には、遺産分割協議によって誰が預貯金を相続するか確定していなければ、解約等はできません。昨年末に最高裁判例でそのことが確認されました。

かつてのように相続分に応じて引き出し可能という扱いは難しくなったと思います。

有価証券の相続は、解約ではなく、名義の変更手続きを行うことになります。

これまで株式の取引など一切行ったことの無い方については、このときに特定口座を開設することが必要になります。

自動車の名義も他の相続手続きと同じように、名義変更の手続きが必要です。

 

遺産分割協議

相続人全員に財産の内容と配分の素案を示して、遺産分割協議書への実印の捺印と印鑑証明書の交付を受けます。

一つ協議書を作成すれば、あとは不動産の相続登記手続きにも、預貯金解約、有価証券名義変更、自動車登録変更、全ての手続きに共通して利用することができます。

遺産分割協議書の作成について、相続人間で意見がまとまらない場合は、遺産分割調停を提起することとなります。

相続人の中に連絡が取れない方がいるという場合なども、裁判所の手続きが必要になるかもしれません。