理事長 司法書士 和出吉央です。

本日は、前回のブログ(随分前ですが…)にて触れました、事例の①、

 

Sさんは、先祖から引き継いだ沢山の土地、家屋を所有。

しかし、高齢になってきたので、長男一家(長男、さらに孫の男児)に昔で言う、家督相続させたい。

なお、長女は、家督相続については同意している。

 

についてお話したいと思います。

 

家督相続とは

 

まず、家督相続について。

いわゆる旧民法において、複数の相続人がいる場合でも、戸主の身分および財産を“単独で”承継する相続形態のことを言います。

通常、代々長男が一人で相続していくことがほとんどです。
現行の民法では、家督相続は廃止され、法定相続=いわゆる均等相続の制度となっています。

 

この家督相続を実質上可能とするためには、原則、相続人全員の同意が必要となるため、非常に困難です。

話がまとまらず争いになった場合(調停や審判)、既述のとおり、現行民法では均等相続となっていますので、家庭裁判所の判断としても、均等で遺産を分けるという方向に寄せられています。

 

遺言の活用

そこで、この実質上の家督相続を実現するために、まず考えうる手段として、遺言の作成があります。
具体的には「私Sは、すべての財産を長男へ相続させる」という一筆を残しておけば、“いったんは”実現することができます。

では、その次の代、Sさんの孫への相続はどうでしょうか?

皆様もご承知のとおり、上記の遺言で、長男へ財産が承継されることが確定しているので、その後の財産の承継について、Sさんはもう、とやかく言うことはできません(そもそも、その段階でSさんはすでに死亡していますが…)。

仮に遺言へ長男の次は孫へと書いても法的にはまったく無効です。

また、Sさんが元気なときには納得していた長女が、相続が発生した後、遺言を反故にする可能性も十分にあります(遺留分の問題)。

さらには、遺言はいつでも、Sさんの気分次第で、書き直す(撤回する)ことができてしまいます。

実は、長男としては法的には不安定な状態なのです。

 

家族信託を活用

では、家族信託を活用した場合はどうでしょうか?端的に申し上げますと、

①Sさんは、元気なときに、長男に承継させた財産を、次に孫に承継させると決めることができます。もっと言えば、場合によってはさらに曾孫の代まで承継先を決めてしまうことができます(ただし30年ルールあり)。

②まだいろいろと議論されている段階ではありますが、遺留分についても、長女が主張できないとすることもできる場合があります。

③家族信託は、委託者Sさんと受託者との“契約”行為であるため、通常、Sさんの気分次第で書き直すことができません(受託者・受益者等との合意が必要)。

これまでの民法では考えられなかったことが、信託法の世界では繰り広げられています。

ご興味がある方は、お気軽にご相談ください。

次回も、ひきつづき、家族信託のお話をしたいと思います。

 

一般社団法人相続ワンストップ相談所

理事長 司法書士   和 出   吉 央

 

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