「相続税の課税割合」について

平成 27 年中(平成 27 年1月1日~平成 27 年 12 月 31 日)に亡くなられた方から、相続や遺贈などにより財産を取得した方についての相続税の申告状況の概要が年末に発表されました。

毎年同じ時期に報道発表があるのですが今回の発表はいつもにもましてとても気になっておりました。

それはなぜかと申しますと平成25年度税制改正により、平成27年1月1日以後の相続・遺贈から基礎控除額の引下げが行われており、その基礎控除の引下げ後初めての報道発表だったからです。

 

基礎控除を引下げる時に課税庁はどのくらいの課税割合になることを予想していたかご存知でしょうか?

(注) 課税割合 = 相続税に申告書提出に係る被相続人の数 / その年の死亡者数

 

このサイトをご覧になられる方の中にはしっかり勉強されている方も多いかと思いますが、初めてサイトをご覧になれれる方もみえると思いますので復習を兼ねて「基礎控除引下げ等」の改正時点の事をまず振り返ってみたいと思います。

 

民主党が与党だった時の平成24年2月17日の閣議決である「社会保障・税一体改革大綱」に「相続税は、基礎控除がバブル期の地価急騰に伴い引き上げられてきた後、 地価が下落しても据え置かれているため、課税ベースが著しく縮小している。 また、最高税率の引下げを含む税率構造の緩和も行われてきた結果、再分配機能も低下している。こうした状況を踏まえ、相続税については、その資産再分配機能を回復し、格差の固定化を防止する観点から、平成23年度税制改正法案には、「基礎控除の引下げ等」を通じた課税ベースの見直し、最高税率の引上げを含む税率構造の見直し等を盛り込む一方で、高齢者が保有する資産の現役世代への早期 移転を促し、消費拡大や経済活性化を図る観点から、直系卑属への贈与に係る贈与税の税率構造の緩和及び相続時精算課税制度の拡充措置を盛り込んだ。」とあります。この閣議決定により平成27年1月1日の相続・贈与から「基礎控除引下げ等」が確定しました。

 

ちなみにこの閣議決定時に報道発表されていた平成24年度の全国での相続税申告件数は52,572件、課税割合で4.2%でした。ではいったいこの平成25年度改正の「基礎控除引下げ等」によりどの程度まで課税割合を引き上げるつもりだったかご存知でしょうか? 実際には課税割合を全国平均で「6%代後半」程度まで引上げる予定だったようです。

 

さて「6%代後半」になったのでしょうか。

 

 

まずは一番課税割合が高そうな東京国税局(東京都、神奈川県、山梨県、千葉県)ですが、平成27年中に亡くなられた方(被相続人数)は①約25万3千人(平成26年約24万9千人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は②約3万2千人(平成26年約1万9千人)で、②÷①の課税割合は12.7%(平成26年7.5%)。

 

次に大阪国税局(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県)は平成27年中に亡くなられた方(被相続人数)は①約20万3千人(平成26年約20万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は②約1万7千人(平成26年約9千6百人)で、②÷①の割合は8.2%(平成26年4.8%)。

 

そして名古屋国税局(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県)は平成27年中に亡くなられた方(被相続人数)は①145,713 人(平成26年 141,951人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は②16,031人(平成26年 8,591 人)で、課税割合は11.0%(平成26年 6.1%)。

 

最後に全国の数値として国税庁の発表を確認してみましょう。

平成27年中に亡くなられた方(被相続人数)は①約129万人(平成26年約 127 万人)。①のうち相続税の課税対象となった被相続人数は②約10万3千人(平成 26 年約5万6千人)となるので、②÷①の課税割合は8.0%(平成26年4.4%)。

 

全国と三大都市圏が含まれる各国税局のみの報道発表だけを確認してみましたが、すべてが「6%代後半」を超えています。

 

一般社団法人相続ワンストップ相談所のある名古屋市を所轄する名古屋国税局では6%を大きく上回り「11%」です。確かに平成25年度改正前から全国平均を上回ってましたが、10%を超えてくるとは全く予想していませんでした。

 

平成25年度改正は「基礎控除の引下げ」という納税者からしたら増税となる改正がメインでしたが、その陰にかくれて「小規模宅地等の評価の特例」として財産の評価額を減額して納税者に有利な改正も行われていました。また、基礎控除が引下げられることがわかっているので、改正施行前から生前贈与をされた方も少しずつ増加していましたし、前回のブログでも申し上げたように色々な職種の方々が「相続」をビジネスチャンスとみて相続税対策も行われていたはずです。金融機関などの教育資金贈与などが大ヒットしたり、住宅メーカーが高収益を獲得したのはそういった結果だったはずです。

 

しかし、なぜこれほどまで予想を大きく上回ったのどうしてしょう?

相続税の大衆化?などとメディアが過剰な情報を発信したことで、相続税に対して納税意識の高い方が増えたことが申告件数に影響をあたえている可能性はあります。実際の経験から、「基礎控除」前後の方の相談が増えた気がしますので、そのような方々がほんの少しの納税でも適切に申告された結果が反映されていることは事実かもしれません。

 

実際には、「生前贈与」などの相続税対策が思ったほど効率よく実行されていなかったのではないでしょうか、また、そもそも相続税対策が必要なかった方々への不必要な相続税対策が横行していたが原因だったのではないでしょうか。

「相続税対策」も「相続対策」も、まずは「診断」が重要だと思います。「相続税対策」の場合では、「相続税シミュレーション」です、このシミュレーションをおろそかにしてしまうと「相続税対策」の効果が低下してしまいます。

「一般社団法人相続ワンストップ相談所」では簡単な相続税のシミュレーションの相談も受け付けております。

一時間の相談時間内で不可能な場合は、別途シミュレーション作成費用が発生することになりますが、シミュレーションによって適切な「相続税対策」「相続対策」が実行できれば、シミュレーション作成費用以上の効果があると思います。

 

 

一般社団法人相続ワンストップ相談所

相談員・税理士 青山徹

 

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